とよはしまちなかスロータウン映画祭
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2002映画祭レポート
上映映画・アンケート集計
2002上映映画
邦画の見所


風に逆らう流れ者
監督:山崎徳次郎
出演:小林旭
浅丘ルリ子

七原尉典
昭和36年4月9日。豊橋日活劇場、現在のスカラ座にて封切られた。当時の看板に「男の火花が夜空に咲けば/唸るぜ鉄拳 逆巻く嵐/豪快アキラ 豊橋で大暴れ」と書かれている。東京オリンピック以前、テレビがまだ白黒だった時代、観客は旭のアクションに溜飲を下げると同時にワイドカラー画面を旅することになった。当時、ロケの誘致が相次ぐ中、豊橋に決定。駅前、広小路、吉田城、魚町ヤマサ、蒲郡竹島、ふきぬき温泉などで大ロケが敢行され、資料によれば、天草四郎の役名が「ヤマサの親爺」となっていて、旭扮する主人公がヤマサの二階に下宿するという設定になっている。

物語は至極簡単、旭扮する野村浩治が、豊橋に流れてきて親友の死の真相をつきとめる。土地の悪党をやっつけ、ヒロインを降り切って去って行く、ただそれだけ。さすらい、ダンチョネ節、オイトコ節をスクリーン一杯に唄う。広小路に櫓(やぐら)を組み、市民総踊り、あばれまくる鬼祭りの鬼。総天然色、シネマスコープの銀幕で、旭の唄う豊橋音頭。まさに映画の醍醐味一杯、面白さ保証。ただ西部劇のように自由自在に暴れることができれば充分だった。おかげで無国籍映画のレッテルを貼られたが、観客の胸に浮かぶのは、それぞれの故郷、この映画ではまさに豊橋だった。 今なお現役のトップスター、小林旭。人々は彼を「マイトガイ」と呼んだ。
 
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いちばん美しい夏
監督:ジョン・ウィリアムズ
出演:真帆
南美江


酒井真由実
愛知県三河地方山間部の鳳来町・東栄町・設楽町・新城市・名古屋市内大須で撮影。日本の豊潤な山里を舞台に、少女と老婦人の成長と友情の物語を、英国出身の監督が美しく描く。

親も手を焼く、遊び好きな女子高生・直美は、おばさんが経営する田舎の旅館を手伝いながら、夏休みを過ごすことになる。そこで、軽い痴呆を患うひとりの老婦人と出会い、いつしか互いの秘密や夢を分かち合いはじめようになる。やがて直美と老婦人の間にある「戦争による貧しさを経験した世代」と「平和で物に囲まれた世代」、「都市の生活」と「田舎の生活」の溝をも埋め始め、二人は生きる痛み、喜び、悲しみ、希望を共有しはじめる。

英国人監督ジョンウィリアムス自らがかつて生きた少年時代の豊かな自然と、成長課程にある心の粗暴を、鳳来町を舞台に瑞々しく映画として蘇らせる。それは、日本人が忘れかけていた家族の思い遣り、優しい心を思い起こす作品となった。
 



赤穂浪士
監督:松田定次
出演:片岡千恵蔵
市川右太衛門
中村錦之助


佐々木順一郎
昭和30年代の前半から中頃にかけて「時代劇の東映」として映画界をリードしていた東映の創立10周年記念作品で当時のオールスターキャストが勢揃いした大作。

キャッチコピー「大東映の忠臣蔵決定版」とある様に、その魅力は大規模セット、豪華な衣装、そして映画界随一のスター達が繰り広げる共演であり、御ひいきのスターがどんな役柄を演じ、活躍するのを大画面で満喫するのがフアンの楽しみであった。

翌1962年、東宝が創立30年記念作として「忠臣蔵」を製作してからはTVの普及もあって1979年東映「赤穂城断絶」まで「忠臣蔵」映画は長い空白の時代を迎える。以降、1994年高倉健の「47人の刺客」(東宝)、「忠臣蔵外伝 四谷怪談」(松竹)まで更に待つ事になり、その間テレビ時代劇で続々と「忠臣蔵」ものが製作されている。が、スクリーンでの雰囲気は別物で往年の華やかりし頃の雰囲気を是非この機会に味わって頂きたい。
 



ラブレター
監督:岩井俊二
出演:中山美穂
豊川悦司


鈴木弘之
2年前に事故で亡くなった恋人へ手紙を書いた。返ってくるはずのない返事。しかし、生きているはずのないその人からの手紙が届いた・・・。手紙の主は誰なのか?過去の思い出を振り返りながら、届かなかったラブレターが今、届けられる。

想うということが人を優しくさせるのです・・・。

成立しない三角関係。終わってしまった、始まりもしなかった恋を想うラヴ・ストーリィ。本来物語の核となるべき部分を一切描かずに、ひたすら記憶を語り続ける事に終始している・・・。考えてみると実に風変わりな映画なのですが、これほど純粋に恋愛を語っている物語も稀です。登場人物の感情と物語に流れる空気や時間、語られる記憶そのひとつひとつが、自分のものと錯覚してしまたくなるほどの愛着を感じさせます。

出来れば見終わった後、亡くしてしまった大切な人を、叶えられなかった想いを、忘れてしまった楽しい日々の事を、想い出していただきたいのです。
 



蒲田行進曲
監督:深作欣二
出演:松阪慶子
風間杜夫
平田満


山本光伸
スロータウン映画祭、邦画の大トリは「蒲田行進曲」です。映画が大衆娯楽の王道だった古き良き時代へのオマージュ。映画への愛情がひしひしと伝わる、笑いあり涙ありのとっても温かい映画です。

この映画は、我らが豊橋出身、平田満の大出世作でもあります。彼扮する、かっこわるいけどひたむきで優しいヤス。「これがこれなもんで」なんて言いながら、銀ちゃんから押しつけられた小夏とお腹の赤ちゃんのためにひたすら危ない仕事をこなす、そんなヤスがラストシーンでは何とかっこいいこと!風間杜夫扮する自己中心的で傲慢だけどなぜか憎めない銀ちゃん、小夏役の松坂慶子もいい味出してます。 映画って外界から遮断されたあの暗い中で観客がある時間、ひとつの夢を見るようなものです。大勢が同じ時にハラハラドキドキし、泣き、笑い、感動する。そんな感情の共有をこの映画で楽しんでいただけたら最高です。

やっぱり映画は映画館で見よう!


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