ここが見所

瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと(2022年/中村裕監督)

酒井まゆみ

実行委員会 理事
(株)シネマ雄 代表取締役

2021年11月に99歳で没した作家で尼僧の瀬戸内寂聴さんのドキュメンタリー。
中村裕監督が寂聴さんに17年間密着して、信頼関係以上の絆で結ばれていたからこそ撮れた映像や言葉が、この映画にはたくさん詰まっています。

大正・昭和・平成・令和と4つの時代を生きた瀬戸内寂聴は、駆け落ち、不倫、三角関係など、自らの体験を私小説の形で発表し、世間からバッシングを受けながらも51歳のとき出家し、以来、僧侶、作家の2つの“肩書”で活動していく。
僧侶になっても、恋心をもって生き、女性であるということを忘れず、人生を楽しみ、作家としての不動の地位を確立した。

月一の法話には全国から人が押し寄せる、まるで「最長寿の国民的アイドル」だった。この法話に是非一度参加したいと願っていましたが、願いが叶わず、残念でなりません。寂聴さんの胸打つ名言「亡くなった人は暗いお墓の中にはいません、愛する人のそばにいます。」深く心に残ります。

90過ぎても、お酒を飲んで、お肉を食べて、たくさん笑って、時に落ち込んで、おしゃれで、お茶目でバイタリティ溢れる人。この映画を通して、私は昭和生まれ73歳人生締めくくり期の生き方のヒントを教えてもらった作品となりました。

見る者を勇気づけてくれる言葉を、スロータウン映画祭令和5年2月11日見て感じていただけましたら幸いです。


上映日/2023年2月11日(土)13:15〜
提供=オーギヤグループ