ここが見所

ロストケア(2023年/前田 哲監督)

湊本陽夫

実行委員会 理事
まちなかビブリオ倶楽部 代表
(株)エフエム豊橋パーソナリティ

「次第に感情をあらわにしていく撮影だったので、最後の方はヘトヘトでした」、パンフレット長澤まさみさんのコメントです。自分も映画館で見終わった後はヘトヘトで心に残る映画体験でした。

介護士でありながら42人を殺(あや)めた殺人犯・斯波役に松山ケンイチさん、その彼を裁こうとする検事・大友役に長澤まさみさん。初共演の二人が入魂の演技で(まさに)激突する社会派エンターテイメント作品。現代日本の闇を考えさせられる内容で、鑑賞中はずっと心を揺さぶられました。
自分の父は70代後半で亡くなりましたが、最後は認知症でした。斯波父親役の柄本明さんが、父親にダブってみえて正直辛かったですね。

そして注目は、新人ヘルパー・足立役を演じる豊橋市出身の加藤菜津さん。働き初めて3ヶ月という設定で、観客と同じ立場にあたると思います。彼女の感情変化(演技)も素晴らしかったです。
今回2月11日(日)映画祭【ふるさとゲスト】として登壇されます。撮影当時の心境も踏まえて、どんな裏話が聴けるか楽しみです。

葉真中顕著の原作本ではミステリー仕掛けになっていますが、映画ではガッツリ人間ドラマにアレンジされています。DVDや配信で観たら、きっと辛くて鑑賞を止めてしまう方もいるでしょう。是非あなたも、とよはし芸術劇場PLATのスロータウン映画祭スクリーンで、ヘトヘトで、かつ心に残る映画体験をしてみませんか?


上映日/2024年2月11日(日)13:30〜
協賛=スバル東愛知販売株式会社