ここが見所

AIR エア(2023年/ベン・アフレック監督)

長田徹也

実行委員会 財務理事
長田税理士事務所

ナイキという企業が、バスケットシューズで最も有名な「エアジョーダン」を生み出すまでの過程を実話に基づいて描いた作品。

現在、ナイキは各種スポーツシューズその他の関連商品市場で業界最大手の巨大企業という印象だが、映画の舞台となった80年代初頭ではまだそこまでの規模ではなかった。特にバスケットシューズ市場でのシェアは、コンバースが圧倒的で、それに続くのがアディダス、ナイキは20%にも満たない3番手のメーカーであった。

業績不振であったこの部門のテコ入れのために、マッドデイモン演じる担当者ソニー・ヴァッカロが、起死回生の一手として、有能と信じる新人選手一人を見出し、予算を集中させ、その選手名を付した専用シューズを作りプロモーションしていくという方法を思いついた。そこで白羽の矢がたったのが、その後NBA史上、最も有名な選手となるマイケル・ジョーダンであった。彼がアディダス好きで、とりわけナイキ嫌いということが分かっている中で、反対する社内上層部を説得し、さらに彼の母親の信用を得て、自社シューズ使用の契約締結にこぎつける。

本作品で描くのは、リスクを承知で全力で目的に向かって努力する姿であり、バスケットボールを知らなくても問題なく楽しめる作品となっている。

ナイキというメーカーは日本と縁の深いメーカーで、創業者でCEOのフィル・ナイトが大学卒業後に訪れた神戸でオニツカタイガー(現アシックス)の品質と価格に感銘をうけ、米国での独占輸入販売権を取得したところから始まっている。そのあたりも知っておくと、さらに楽しめます。


上映日/2024年2月25日(日)9:30〜
提供=株式会社物語コーポレーション