ここが見所

丘の上の本屋さん(2021年/クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督)

佐々木順一郎

実行委員会 会長
映画コレクション・しねとろ倶楽部 主宰

「イタリアの最も美しい村」のひとつに数えられるチビテッラ・デル・トロントを舞台に、年齢や国籍の違いを超え、本を通して老人と少年が交流する姿を描いたハートウォーミング・ストーリー。

店主リベロ役は「フォードvsフェラーリ」「我が名はヴェンデッタ」のレモ・ジローネ。イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上にある、小さな古書店。店主のリベロはある日、店の外で本を眺めていた移民の少年エシエンに声を掛ける。好奇心旺盛なエシエンを気に入ったリベロは次々と店の本を貸し与え、エシエンは、リベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾ける。本の感想を語り合ううちに、2人は年齢や国籍を超えた友情を築いていく。

この映画は、本を読むことは素晴しい事と教えてくれます。現在では電子書籍も多くなりましたが本を読むことで世界が広がり見終わって爽やかな印象を持たれるでしょう。特に店主リベロの「幸せのブックリスト」に記された本の題名が「イソップ物語」「白鯨」「星の王子様」や「ピノキオの冒険」などが映画を観られる方々の知的好奇心を刺激する筈です。そして映画の見所は舞台となるチビテッラ・デル・トロントの絶景や、石造りの歴史を感じる街並みを味わえるのも大きな魅力です。

因みに本屋の主人の名前であるリベロはイタリア語で「自由(Libero)」を意味しており、少年に自由と誰もが幸せになる権利を持つことを教える物語は、派手な作品ではありませんがきっと心に残る作品としてお薦めします。


上映日/2024年2月10日(土)14:25〜
提供=スバル東愛知販売株式会社