ここが見所

「生きる」 大川小学校 津波裁判を闘った人たち(2022年/寺田和弘監督)

佐々木順一郎

実行委員会 会長
映画コレクション・しねとろ倶楽部 主宰

2011年3月11日に発生した東日本大震災。宮城県石巻市の大川小学校も大津波にのまれ全校児童の7割にあたる74名の児童と10名の教職員が亡くなった。地震発生から津波到達まで51分、学校横の裏山や防災無線情報やスクールバスがあったにも関わらず発生した惨事に対して、理由を問う親たちに行政の対応は納得いくものではなかった。一部の親たちはその説明に隠蔽があると感じて、「なぜ我が子が学校で最期を迎えたのか?」の真実を求めて石巻市と宮城県を相手に国家賠償を求めて提訴に踏み切る。

この映画は、二人の弁護士が遺族の代理人を務め、裁判が始まってからも親たちが撮り続けた膨大な記録映像を判決に至るまでの5年間を含めて10年にわたる映像を寺田和弘監督が構成・編集して後世に残る作品として製作したドキュメンタリー。

わずか二人の弁護団で原告となった親たちにとって裁判で辛かった事は、我が子の命に値段を付けなければならなかった事だったと映画の中で述べているが、やがて5年にわたる裁判で画期的な判決を導くことになる。

2024年3月に東日本大震災から13年を迎えます。豊橋市からも石巻市への復興支援や多くの市民が支援活動を行ってきました。大川小学校跡地へも訪れた方も多かろうと思います。小さないのちが遺してくれた伝えなくてはならないこと、忘れてはいけないことであり決して他人事ではないことの強いメッセージをこの映画を通して感じて頂ければ幸いです。


上映日/2024年2月4日(日)9:30〜
提供=オーギヤグループ