ここが見所

銀河鉄道の父(2023年/成島出監督)

満田康一

実行委員会 副会長
学校法人桜丘学園 理事長

2019年以来のコロナによる規制が解除されたた中での開催となる第22回映画祭ですが、コロナ前とコロナ下の折衷型の運営を予定しています。映画を見る経験は人生を豊かにしますが、多人数で見る経験は一人で見るのとは異なる感覚を得られます。ぜひお時間の許す限り、会場に足をお運びください。

本作品は門井慶喜の直木賞受賞作を実写映画化した、宮沢賢治とその父である政次郎を通して家族愛が描かれた作品です。時は明治から大正そして昭和にかけた時代。誰もが読んだことのある作家宮沢賢治とその父、政次郎を中心にストーリは展開します。質屋の長男として産まれた賢治は、父からの大きな愛情と期待と受け、跡取りとして大事に育てられました。しかし、賢治は家業を継ぐことを避け続け、政次郎はついつい賢治の希望を受け入れてしまいます。そして賢治が東京へ家出している間に、一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れてしまいます。賢治はトシを励ますために、物語を書き、読み聞かせをしますが、願いは届かず、その後賢治にも同じ病魔が迫るのでした。

人の優しさ、繊細さ、家族愛が拒絶や受容を積み重ねて、一つのカタチを創ってゆく姿が描かれています。そして、時代を超えて残るモノとは何なのか、今ここに存在していることをやさしく考えることができる素敵な作品です。是非、会場の空気の変化とともに映画の世界に浸かっていただきたい、そんな作品です。


上映日/2024年2月3日(土)9:30〜
提供=株式会社オノコム