クレッシェンド 音楽の架け橋(2019年/ドロール・ザハヴィ監督)
藤本逸子
実行委員会 理事
豊橋創造大学 短期大学部 名誉教授
音楽に関する用語を「楽語」と言い、その多くがイタリア語です。表題にある「クレッシェンド」も「次第に強く演奏すること」を表す楽語で、イタリア語としては、「音・量・勢いなどが次第に強くなること」を意味しています。
「クレッシェンド音楽の架け橋」は、紛争が続くパレスチナとイスラエルから、若い音楽家を集めてオーケストラを結成し、和平につなげようと奮闘する物語です。
パレスチナ出身者も、イスラエル出身者も、ほんの少しのきっかけで、お互いの憎しみが、クレッシェンドされてしまいます。世界的指揮者のスポルクも頭を抱える日々です。
若者たちの対立と葛藤の中、ヴィヴァルディ「四季より冬」・ドヴォルザーク「交響曲第九番 新世界より」・パッヘルベル「カノン」・ラヴェル「ボレロ」などのクラシックの名曲が流れます。
いずれの曲も、その時の演奏者の心が反映された音です。「ボレロ」の演奏のクレッシェンドが圧巻です。どのような心がクレッシェンドされるのか、作品をご覧になってお楽しみください。
作品のスポルクのモデルとなっている音楽家は、ピアニスト・指揮者のバレンボエムです。彼は、1999年、イスラエルとアラブ諸国の若い音楽家を集め「ウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ」を設立しました。2005年にパレスチナのマッラで初めてのコンサートを開き、2006年には国連で演奏しています。また、昨年、ピアニストとして来日し、リサイタルを行っています。
上映日/2023年2月4日(土)9:30〜
提供=豊橋日独協会