ここが見所

小学校〜それは小さな社会〜(2023年/山崎エマ監督)

上栗陽子

実行委員会 理事
穂の国とよはし芸術劇場 事業制作リーダー

東京のごく普通の公立小学校の150日間を長期取材、コロナ禍を過ごす1年生と6年生を1年間撮影した本作は、日常を切り取ったドキュメンタリー映画で教育大国フィンランドでもロングラン上映されて話題になりました。監督は日英をルーツに持つ山崎エマ。学校取材の許可を取るまで6年かかったそうです。

それもうなずけるほど、カメラはこどもと大人をどちらも丁寧に追いかけます。
春の入学式から始まります。新1年生になるにあたり、ある練習を繰り返す親子。先生や6年生は、下駄箱の使い方をはじめ小学校の過ごし方を新入生に一つひとつ教えていきます。日本では当たり前の清掃や給食の配膳、式典や運動会の練習、時間を守り行動すること。しかし映画が進んでいくうちに誰しもが「これはどうやら当たり前じゃないらしい」と気がつくはず。

取材時はコロナ禍の真っ只中。一人ひとりの机に感染防止用の仕切りがあって完全黙食、さらに給食の残り時間をテレビ画面に大きく映し出していて、正直ここまで管理されているのか、と驚くことも。見方によっては異常にもみえるけれど、こども達にとってはこれが「普通」の日常なわけです。日本式教育は海外でも注目されているようで「日本の小学校教育は素晴らしい」と山崎監督はインタビューでも語りますが、違和感は否めません。それが良い/悪い、そういう境界線では決してなく。

ささやかでありながら一言では語れないドラマがいくつも顕れます。春に新入生を迎える式典で1年生が披露する合奏の楽器担当を巡っては、先生の熱い指導とこどもの練習風景に、涙がぽとぽとと落ちて胸が締め付けられます。なんて、美しくもあり醜い、そして微笑ましいようで息苦しいのだろう。先生の奮闘ぶりも飾らずに収められており、最後に現れるロボット掃除機の登場にも注目です。


上映日/2026年2月7日(土)13:10〜
協賛=スバル東愛知販売株式会社