映画祭レポート

第23回とよはしまちなかスロータウン映画祭レポート

2025年1月19日(日)~2月22日(土)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT

第23回とよはしまちなかスロータウン映画祭は、1月19日(日)のオープニングイベントを皮切りに1月25日(土)・26日(日)・2月1日(土)・2日(日)の5日間を前半、1週おいて2月15日(土)・16日(日)と2月22日(土)の3日間を後半として合計8日間での映画祭となりました。会場使用の関係で前回より1日短い開催期間と1イベント少ない企画群で上映作品は22本でしたが、全ての行事を無事に実施することが出来ました。

今回の特徴は、① ゲスト女優陣の充実 ② 全22本のうち女性主人公の作品が11本 ③ふるさと関連ゲスト及び作品上映 ④ 音楽関連作品をラインナップに反映したことです。
結果として前回と近い入場者数となりました。ご来場のお客様、ご支援頂いた企業・事業所様そしてボランティアスタッフの皆様、全ての関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。



スロータウンシネマ(映画上映):2025年1月25日〜2月22日(土・日曜日7日間)
@穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

スロータウンシネマでは、全作品1回上映7日間で16作品を上映しました。
今回の特徴として、女性が主人公となる作品の充実と現代社会でのテーマ性を考慮、旧作名画は4本とし内外の良質な作品選定を心がけて新作・準新作を13本、お客様アンケートでリクエストが多いドキュメント映画3本及び上映時間90分前後の作品を意識選択する構成となりました。

特にインド映画「ガンジスに還る」上映では映画祭スタッフでインド映画研究家の高倉嘉男による上映後の解説を加えて映画への興味推進の試みを行いました。又豊橋ふるさと大使菅原浩志監督の最新作「カムイのうた」上映後に菅原監督の舞台挨拶。更には地元久遠チョコレートを舞台にした「チョコレートな人々」上映後には久遠チョコレート代表の夏目浩次さんのアフタートークなどお客様との交流をはかりました。このように映画上映に解説や舞台挨拶を加えてより一層映画を楽しんで頂くプログラムを推進しました。

チケット販売方法を座席指定(作品・日時指定)に変更して5年目となりお客様の安心感に加え、上映作品の話題性もあり16作品上映で2,406名の入場者数となりました。入場者数が多かったのは「PERFECT DAYS」「九十歳。何がめでたい」「ガンジスに還る」の3作品が200名を越え、「カムイのうた」「カラオケ行こ!」「高野豆腐店の春」が続く入場者数となったことで安定稼働となり1回あたりの入場者は前回を少し上回る平均150名となりました。







オープニングイベント:2025年1月19日(日)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

「安藤サクラ シネマ&トーク」

上映作品「百円の恋」「BAD LANDS バッド・ランズ」

ゲストに2024年第47回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞&最優秀助演女優賞のダブル受賞に輝いた女優の安藤サクラさんをお招きしてのシネマ&トークを開催しました。上映作品は安藤サクラさん主演で第39回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いた「百円の恋」と2023年「BAD LANDS バッド・ランズ」の2本上映とトークで題して『安藤サクラ in 豊橋』。

昨年12月7日からのチケット発売では発売開始早々にソールドアウト、お客さまアンケートで映画祭ゲストお呼びしたい女優のトップであり日本を代表する女優安藤サクラさんだけに改めて人気の程を感じました。当日安藤サクラさんは「BAD LANDS バッド・ランズ」を客席で観賞。そして17時からのトークは、映画祭理事であり豊橋文化振興財団の上栗陽子の司会進行でスタート。会場は満員のお客様で若い女性客の姿が目立ちました。特に10年前に公開の「百円の恋」について、苦労話や当時の想いとして「全力が100だとしたら500以上出して生きる力を削って作った」と振り返っておられました。

当日「百円の恋」を演出された武正晴監督が場内で観賞されておられ、安藤サクラさんと共にステージでエピソードを語って頂きお客様にとっては、嬉しいサプライズだったと思います。又「BAD LANDS バッド・ランズ」についてもご本人がとても好きな作品と述べられていました。トーク終了後に安藤サクラさんは客席に降りられて写真撮影にも応じられ、役作りへの熱い想いやファンサービスにお客様は、映画とトークを通じて安藤サクラさんの「表現者としての魅力」を再確認された事でしょう。

当日、ホワイエでは安藤サクラさんの出演作品ポスター11点の展示でキャリアを紹介しながら、安藤サクラさん監修の「百円の恋」オリジナルTシャツを販売し多くのお客様が買い求めていました。こうしてオープニングイベントは大盛況のうちに終了しました。





アフターアワーズ:2025年1月25日(土)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

映画「もぎりさん」全12話一気見&「片桐はいりトーク in 豊橋」

女優の傍ら多数の著書もあり多岐にわたる活動で俳優として貴重な存在の片桐はいりさんをお招きしての「片桐はいりトーク in 豊橋」。映画を愛する片桐はいりさんの魅力をお楽しみ頂く企画として実現しました。チケットは発売早々に完売、開場時に片桐はいりさんが自ら「もぎり」をされ、サプライズでの登場に250名を超えるお客さまは大喜び。現在も現役もぎりのベテランらしくチケットもぎりの「ピッ!」という音が何とも心地よい響きがとても印象的でした。

上映作品はご自身が主演の「もぎりさん」。映画館スタッフと映画ファンたちの映画館あるあるを、東京の映画館「キネカ大森」ゆかりの映画人によって映画化されたショートムービー集。映画と映画館そして映画好きな人々の素敵な関係を描きつつ、「街の小さな映画館が元気になるように!」と願いを込めた作品として全12話からなる作品を一気見でご覧頂きました。

そして上映後に片桐はいりさんが登壇、映画祭実行委員会の前川みどりの進行でスタート、50本以上ご出演された映画やお芝居、映画館などのお話をユーモアまじえてたっぷりとして頂きました。スロータウン映画祭ならではの企画として、片桐はいりさんの映画愛にあふれたトークは正に「もぎりよ今夜もありがとう」に相応しい素敵な時間となりました。





ライブ&バー(1):2025年2月15日(土)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

ピーター・バラカンSPECIAL 第1部:ピーター・バラカン解説付き上映「ストップ・メイキング・センス」

今回で9回目のご出演となるピーター・バラカンさんの特別企画。第1部ではバラカンさんご推薦の音楽映画を上映しました。
作品は、『ストップ・メイキング・センス』、1980年代の音楽に変革をもたらしたアメリカのロックバンド「トーキング・ヘッズ」のライブツアーのドキュメント映画。
ピーター・バラカンさんが客席で観賞して、上映後に映画の解説を行いました。音楽を多岐にわたってわかりやすく解説して頂いてお客様にとっては大変興味深い内容でした。





ライブ&バー(2):2025年2月15日(土)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

ピーター・バラカンSPECIAL 第2部:ミュージック・バー「“cheers pb”へようこそvol.9 わが青春のサウンドトラック来日編pt.3」

第2部はスロータウン映画祭の定番イベントとなった恒例のトーク&DJ。今回のタイトル“cheers pb”は「もし、バラカンさんが音楽バーを開いたら」という設定で名づけられた架空の音楽バーの名前。テーマは東京1977年~1978年編。バラカンさんが来日されてからの普段聞くことのできないエピソードと音楽17曲をお客様に楽しんでいただきました。バラカンさんのお人柄が滲み出る温かい雰囲気でのトーク、今回は昨年に続いて1977年~1978年の名曲を聴きながらのお話でしたのでまだまだ続くとのバラカンさんのコメントで、来年も来ていただけると仰っていただけました。
そして今回は最後にバラカンさんが特別にサイン会を実施、多くのファンがアイテムを片手にバラカンさんのサプライズサービスを楽しんで交流しました。





▼△▼とよはしまちなかスロータウン映画祭の特徴として、豊橋や愛知県東三河地方に関連のある作品上映と所縁のゲストをお招きしてのシネマ&トーク、スロータウン映画祭の地域応援企画として前回に続いて実施しました。

ふるさとゲスト シネマ&トーク(1):2025年2月1日(土)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

① 元豊橋ふるさと大使 宗田理追悼「ぼくらの七日間戦争」上映&「豊橋ふるさと大使菅原浩志監督・宗田律トーク」

2024年4月に95歳で逝去された元豊橋ふるさと大使で作家の宗田理さんを偲ぶ企画として「菅原浩志監督・宗田律シネマ&トーク」を開催しました。
映画は宗田理さんのヒット作で菅原監督のデビュー作「ぼくらの七日間戦争」。当時14才だった女優宮沢りえデビュー作でもある作品ですが、子供たちの活躍に会場のお客様は笑顔に包まれました。そして上映後のトークでは、宗田理さんのご子息である律さんと菅原監督とのお二人トーク。

宗田理さんの想いを「子供たちの気持ちを理解し代弁し続けた事で長生きできた」と律さんが解説、一方菅原監督からは「原作にない戦車を登場させて自由に撮らせて頂いた、活字にない映像を表現するのが映画」と語られました。こうした流れから宗田理さんの複数の原作を基本に製作されたのが2005年に撮影した豊橋市制100周年記念映画「早咲きの花」であると監督が説明、そして東京からUターンして映画製作に関わったとは律さん。お二人のお話から繋がりがよく理解できました。

会場には「僕らの七日間戦争」の美術監督小澤秀高さんがサプライズ登場、撮影時のエピソードを披露されました。また客席に菅原組の撮影監督上野彰吾さんも見えられて大いに盛り上がりました。最後に律さんからは「豊橋は父が作家を始めた場所として大切なところ」と語り、豊橋を大切にされた宗田理さんを偲ぶとても有意義なイベントとなりました。





ふるさとゲスト シネマ&トーク(2):2025年2月22日(土)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

② 豊橋ふるさと大使松井玲奈「よだかの片想い」上映&「松井玲奈シネマトーク」

寒波の影響で豊橋では珍しい雪の中、2月22日(土曜日)第23回とよはしまちなかスロータウン映画祭のクロージングイベント、役者・小説家として大活躍の豊橋ふるさと大使松井玲奈さんをお招きしての「松井玲奈シネマ&トーク」を開催しました。
現在放映中の朝ドラ「おむすび」にも出演されている松井玲奈さんの魅力をお楽しみ頂く企画。

映画は松井玲奈さん主演「よだかの片想い」。上映後に松井玲奈さんが登壇、豊川堂書店の高須大輔さんの進行でトークがスタート。「よだかの片想い」について原作者島本理生さんとの映画化にあたってのエピソードや安川有果監督、共演の中島歩さんとの印象象深い場面などを語られ、会場につめかけた200名以上のお客さまが熱心に聞き入っていました。また小説家の面では3月26日発刊の小説「カット・イン/カット・アウト」についてもふれ、4年にわたる準備期間を経て体験談を基にオリジナルな物語として中編小説を書き上げたと述べられました。更に「マラソンに例えれば10キロを走り終えた感覚で、書く事に対する持久力を上げてフルマラソンともいうべき良い物語を作ることに挑戦したい」と意欲を見せました。

今後については「明るい性格の女性やコメデイにも挑戦してみたいのと、息の長い役者になりたい」と語られ、豊橋が生んだスター松井玲奈さんの魅力を大いに感じた「とよはしまちなかスロータウン映画祭」のフィナーレに相応しい楽しいトークイベントになりました。こうして1月19日から始まり1月~2月の週末での8日間にわたる映画祭も大盛況のうちに終える事が出来ました。





スロータウン映画祭シネバザール 復活:2025年1月25日・26日・2月1日・2日・15日・16日(6日間)
@穂の国とよはし芸術劇場PLAT ホワイエ

コロナ禍以前に映画祭期間中に開催したシネバザールを5年ぶりに復活しました。
スロータウン映画祭における過去上映作品も360本以上となり、ストックされた上映作品ポスターやその他映画パンフレット・チラシなどを特別価格での販売を実施しました。



ギャラリー展示(1):2024年8月2日(金)~ 8月12日(月)
@豊橋市民文化会館 2階展示室 豊橋文化振興財団共催

夏休み特別企画「ポスターでみる映画史 夢と希望のスポーツ映画の世界」

展示協力:三遠ネオフェニックス 後援:公益財団法人豊橋市スポーツ協会

9回目となる豊橋文化振興財団主催・スロータウン映画祭共催による豊橋市民文化会館での夏休み企画。記録的な猛暑日が続いた開催期間中、パリオリンピック及び全国高校野球選手権大会日程と重なる事もあり来場されたお客様は大変興味深く見学されたのが印象的でした。特に滞在時間が長いのが特徴。

8月3日(土)・11日(日)の佐々木順一郎によるギャラリートークでは両日で約80名の参加を得てスポーツ映画の歴史と世相を交えながら約1時間の展示説明を実施しました。会場となった豊橋市民文化会館改修工事による駐車場規制と連日の猛暑に関わらずの参加者は延べ650名でした。

新聞記事:東愛知新聞8月3日、東日新聞:8月5日、デジタル朝日:8月10日
CATVティーズニュース放送:8月5日、FM843紹介:8月7日・9日

今回も新しい出会いがあり多くの映画フアンとの交流が出来、大変有意義な展示会となりました




ギャラリー展示(2):2025年1月18日(土)〜 2月11日(木)@豊橋市まちなか図書館 アートスペース

「第23回とよはしまちなかスロータウン映画祭上映作品 ポスター展示」

豊橋市まちなか図書館アートスペースにおいて映画祭開催期間にあわせて開催しました。
第23回とよはしまちなかスロータウン映画祭での上映作品全22作のポスターと関連アイテムを展示、図書館の協力で上映作品の原作本など映画祭コーナーの設置協力を頂く中で来館者への映画祭告知を行いました。




ギャラリー展示(3):2025年3月1日(土)〜 3月2日(日)@新城文化会館展示室

しんしろまちなか映画祭2025  関連企画「映画から広がる世界」特別展

長篠・設楽原の戦い450周年」合戦映画ポスター他 展示協力
「ゴジラ生誕70周年」ゴジラ映画ポスター他 展示協力


今回で7回目を迎える「しんしろまちなか映画祭」。令和6年度新城地域自治区予算事業として、映画を通じた交流機会促進のために、とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会が企画協力を行っています。

関連企画「映画から広がる世界」特別展「長篠・設楽原の戦い450周年」合戦映画ポスター22点とパンフレット&書籍等30点展示、「ゴジラ生誕70周年」でゴジラ映画ポスター22点とフィギュア・関連書籍など50点合計100点以上の展示協力を行い、3月2日(日)には佐々木順一郎によるギャラリートークで解説を行い、歴史の町新城らしい火縄銃・新城陣屋模型・鎧体験などの展示と共に多くのお客様にお楽しみ頂きました。




その他の活動

スピンアウト企画、その他連携企画(計6企画)2024-2025

6月15日(日)~30日
「ここにこ平成レトロ展」
@子ども未来館ここにこ企画展示室
平成映画ポスター・雑誌「とよはしっ子」・まちなか資料等展示協力
6月22日(日)
「ここにこ平成レトロ展」我が家の平成鑑定会
@子ども未来館ここにこ企画展示室
平成文化研究家 山下メロさん・作家しまおまほさん・セカンドストリートさんをゲストに「平成スナップ写真編」「鑑定レトログッズ編」の2部構成で平成お宝の鑑定を行いました。
7月28日(日)
ここにこ芝生シアター〜星空映画会〜
(『すみっこぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』上映)@子ども未来館ここにこ芝生広場
開館以来毎年開催の16回目となる「ここにこ芝生シアター~星空上映会~」。
5本の候補作品からアンケート投票にて最多数の作品を上映。約350名を超える家族連れがシートを広げて真夏の夜の映画を楽しみました。
7月15日(月)~9月1日(日)
大橋裕之「音楽」原画展
@蒲郡市図書館展示室
画家大橋裕之さんの手描き原画や映画化された時のグッズアイテムの展示。
7月15日(月)大橋裕之さんサイン会を限定30名で実施しました。
10月20日(日)
豊橋ビッグドリーム会議2
@豊川堂 本屋の二階
ゲストは杉作J太郎、掟ポルシェ、吉田豪、コンバットREC、でか美ちゃんを迎え100名の観客の中、13時~20時までのロングラントークを実施しました。
10月27日(日)
「だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!Vol.5 佐野妙先生トークイベント
@豊川堂 本屋の二階
ゲスト:まんが家 吉良さゆりさん
11月24日(日)
「だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!Vol.6 佐野妙先生トークイベント
@豊川堂 本屋の二階
ゲスト:まんが家 川崎順平さん
12月14日(土)
手塚治虫と作品を作った日々
@豊川堂 本屋の二階
ゲスト:アニメ監督 杉山卓、杉山一美、杉山丈彦さん
12月22日(日)
「だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!Vol.7 佐野妙先生トークイベント
@豊川堂 本屋の二階
ゲスト:住職 林 志宏さん
2月22日(土)
「だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!SPECIAL 佐野妙先生トークイベント
@豊川堂 本屋の二階
ゲスト:ライトノベル作家 雨森たきびさん

平成レトロ展

ここにこ芝生シアター〜星空映画会〜

大橋裕之「音楽」原画展


佐野妙先生トークイベントVol.5

佐野妙先生トークイベントVol.6

手塚治虫と作品を作った日々



会議・懇親会(計30回)

正副会長事務局会議
正副会長事務局会議 25回開催(2024年4月〜2025年3月@豊橋商工会議所等)
理事会
理事会 3回開催(2024年5月29日@カリオンビル/8月28日@カリオンビル/11月13日@カリオンビル)
全体会兼懇親会
2回開催(2024年7月3日@てんとう虫)(2024年11月27日@ビヤホール独逸)




とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会
会長 佐々木順一郎

撮影:山下将司、満田康一、高倉嘉男、佐々木順一郎 他