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2/10(土) 石川慶「愚行録」シネマ&トーク <凱旋上映>異才の映画監督、故郷で語る!

今年のスロータウン映画祭のイベントを締めくくるのは、地元豊橋出身の新進気鋭の映画監督、石川慶氏をお招きしてのシネマ&トーク。
前売り券は完売。監督は3月放送のドラマ『イノセント・デイズ』編集中の多忙な中、東京から駆け付け、ご家族や同級生、母校時習館高校学校関係者や同窓会関係者、地元映画ファンで埋め尽くされた会場に戸惑いながらも、長編映画デビュー作『愚行録』上映前に舞台挨拶をいただきました。

進行:石川 誠(とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会会長)


豊橋未公開、『愚行録』を地元で!

映画上映を挟んで、トークショーがスタート。ナビゲーターは映画祭実行委員会会長の石川が務めました。冒頭、会長の石川から今回の企画の経緯を紹介。『愚行録』は昨年公開され、内外で高い評価を受けながら地元豊橋では未公開のままであり、そのため豊橋で監督や作品の存在が十分知られていないことから、市民に広く知らしめ応援していただくために今回のイベントを企画。更に今回の企画は、時習館同窓会正副会長の企業7社の協賛により実現したことが報告されました。

続いて、さる1月28日に開催された『第39回ヨコハマ映画祭』において、監督が「森田芳光メモリアル新人監督賞」を受賞したこと、同映画祭が発表した「2017年日本映画ベストテン」の堂々第7位に『愚行録』が選ばれたことが報告されると、会場からは大きな温かいお祝いの拍手が起こりました。


映画好きは父親の影響

最初の話題は、生まれ育った豊橋での想い出について。映画が好きになったのは、当日も客席にもおみえになったお父様の影響が大きいとのこと。小さい頃から、映画雑誌「スクリーン」の年間ベスト10作品をご家族で鑑賞。当時観た映画で印象的なのは『ブリキの太鼓』や『愛の嵐』だったと少年時代を振り返りました。

部活は、小学校ではブラスバンド、中学では陸上を、そして時習館高校ではラグビー部に所属。ラグビー部は友人の誘いで入部、「土日は練習が無い」との言葉を信じて入部したところ、ほぼ毎週遠征試合等があったと苦笑い。また高校ラグビー部の先輩で、『愚行録』にも出演された俳優・平田満さんにまつわる高校時代の想い出話も紹介されました。

続いて、東北大学(理学部物理学科)に進学し、映画を作成するサークルに入ったことや、大学卒業後、世界的な名監督アンジェイ・ワイダやロマン・ポランスキーを輩出したポーランド国立映画大学に留学した経緯などもお話しいただきました。


平田満さんには手紙で出演依頼

話題はいよいよ映画『愚行録』へ。製作に至った経緯や、出演者の皆さんについてお話しいただきました。妻夫木聡さんについては、脚本完成前に自ら出演の申し出があったことや、この作品が縁で、彼が企画し、主演を務めるドラマ『イノセント・デイズ』の監督に指名されたこと。満島ひかりさんについては、撮影中に彼女と長い時間をかけて話し合い、現場で役を作り上げていったこと、素晴らしい感性の女優さんであることが紹介されました。また、高校の先輩でもある平田満さんについては、長文の手紙を書いて出演のお願いをし、快諾されたとのことでした。

連続ドラマ『イノセント・デイズ』(3月18日からWOWOWにて)については、『愚行録』に続いての妻夫木さんとのコンビとなり、大きな手ごたえを感じる作品になったと自信を覗かせ、最後に、是非放送期間中WOWOWに契約してドラマを見て欲しい、と観客に呼びかけました。


秋に大作の計画、いつか豊橋で・・・

今後の予定として、香港映画『十年』(2015年)をもとにした日本、タイ、台湾による国際プロジェクトの中の1本、『十年 日本』(是枝裕和エグゼクティブ・プロデューサー)で監督を務め、今年公開される予定であること、また今後挑戦したい企画としては、『愚行録』、『イノセント・デイズ』と殺人事件をモチーフにした作品が続いたことを念頭に、「あまり人の死なない作品を」と笑いを誘いました。秋には大きな作品が予定されていることを明かし、その作品を持ってまたスロータウン映画祭に帰ってきたい、と語り会場を大いに沸かせました。

地元豊橋で是非何か企画を、との声には、「将来的に豊橋での制作を考えたい。その際には長期的にやってみたい」とのこと。最後に、監督にとって映画作りとは、との問いには、「改めて考えたことはないが・・・」と戸惑いを見せながらも、北野武監督の言葉を引き合いに、「最高に楽しいおもちゃで、学生時代にデジタルカメラで撮りはじめてからそれ以外考えられない位。映画を撮ろうというときは気を付けた方が良い。抜けられなくなってしまう。それ位魅力的なもの。」と映画制作への深い愛情を語られたのが印象的でした。

トークショーの最後には会場の皆さんと一緒に記念撮影。新作を引っ提げてまたスロータウン映画祭へ帰ってきていただくことを皆さんと祈念しながらトークショーを終了しました。

とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会会長・石川 誠


『愚行録』上映前の監督舞台挨拶




撮影:山下将司さん