エンドロールのつづき(2021年/パン・ナリン監督)
高倉嘉男
実行委員会 企画理事
(学)高倉学園豊橋中央高等学校 校長
インド映画研究家
インド映画『エンドロールのつづき』を一言で言い表すならば、インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』だ。
田舎で生まれ育った少年サマイは映画の魔法に取り憑かれ、学校をさぼって映画館に通い詰めるようになる。映写技師のおじさんと仲良くなり、母親が作った弁当と引き換えに映写室に入れてもらって特等席で映画を楽しみながら、映写の仕事を間近で観察する。サマイは光、色、音、物語などを探究するようになり、終いにはフィルムを盗み出して、自前の映写機で上映会を開こうとする。
確かに『ニュー・シネマ・パラダイス』との類似は否定できない。だが、実はこれはパン・ナリン監督の自伝的作品である。田舎で生まれ育ったナリン監督の人生は、サマイと同様に、少年時代に映画と出会ったことで一変した。彼は都会へ出て映画やデザインを学んだ後に世界に飛び立ち、映画監督になった。『エンドロールのつづき』は、映画との出会いという自身の原点に立ち返った物語で、劇中で語られる多くのエピソードは実話だという。
ただし、同作の時代設定は2010年。ナリン監督の少年時代は1980年代だったはずだ。時代を現代に置き換えたことで強調されることになったのが、セルロイド製フィルムと映写機を使って映写する昔ながらの「映画」への憧憬だ。
ナリン監督は映画マニアで、随所に古今東西の巨匠たちへのオマージュも捧げられている。それには小津安二郎や黒澤明などの日本人監督も含まれ、それらを探す楽しみもある。
上映後には豊橋在住インド映画研究家の高倉嘉男による解説もあるので、この機会に是非この珠玉の名作をご覧いただきたい。
上映日/2026年2月15日(日)9:30〜
協賛=豊橋信用金庫