ラストマイル(2024年/塚原あゆ子監督)
今から40年ほど前、私が高校生だった当時の通信販売は、注文票を郵便で送り、代金を銀行で振り込み、1ヶ月ほど待つと自宅にやっと商品が届けられる。本当に商品が届くのか、もしかしたら騙されているのかという疑念を持ちながらも、どうしても欲しかったTシャツやレコードを通信販売で買ったものだった。
映画『ラストマイル』は、現代の通信販売を支える物流の最前線で、宅配便のラストマイル(商品が届くまでの最後の区間)で起こる異変をきっかけに、関係する人たちが次第に明らかになる大きな謎に巻き込まれていくサスペンスドラマです。現代社会の難しいテーマを扱いながらも、観客が映画に置いていかれる感覚がない。社会派でありながらエンタメ性も高く、終始スクリーンから目が離せない作品です。
登場人物それぞれの立場からの発言にも説得力があり、誰か一人を単純に善悪で切り分けられない構造がこの映画の面白さでもあります。また、行き過ぎた効率化や利益最適化を追い求める現代社会の状況を止めることができるのかと観客に問うところが映画に深みを与えています。
観終わった後には、普段何気なく受け取っている荷物の重みや、その背景に思いを巡らせたくなるはずです。サスペンスとしての緊張感、社会への鋭い視点、人間ドラマの厚みが高いレベルで融合した一本。エンタメと現実の接点を考えたい人に、ぜひおすすめしたい作品です。
上映日/2026年2月1日(日)9:30〜
協賛=ユタカサービスグループ