高野豆腐店の春(2023年/三原光尋監督)
長田徹也
実行委員会 財務理事
長田税理士事務所 税理士
尾道を舞台に、昔ながらの製法にこだわった商品を作っている豆腐店を営む父と娘の悲喜こもごもの人生を描いた物語。愚直で職人気質な頑固だけど憎めない父の辰雄(藤竜也)、しっかり者の娘の春(麻生久美子)のお互いを思う二人と、彼らを取り巻く商店街友人たちとの温かいやりとりが見どころとなっている。
持病の心臓の具合が悪化していることを医師に告げられた父親が、自分にもしものことがあれば、娘が一人になってしまうと案じて、出戻りの娘を嫁がせたいと思い立つ。商店街の仲間も二人の為に力になろうと奮闘する姿が、少しコミカルな要素も織り交ぜながら展開していく。
尾道は 名作邦画『東京物語』の舞台ともなっており、小津安二郎監督への敬愛も感じられる作品となっている。コロナ禍だったということもあり、シナリオを作ってから映画化にこぎつけるまで3年という期間を要したとのことだが、豆腐屋を舞台にした作品を思いついた段階で、三原監督は藤竜也さんを思い浮かべ、映画化の見通しも立っていない段階で、シナリオを送ったとのこと。
なぜだか急に、子供のころに良く聞いた「朝いちばん早いのは」という童謡を思い出し、豆腐屋さんは何番目だったかな?と考えてしまった。
昨今薄れている人との繋がりの大切さを改めて感じることができ、あたたかい気持ちになれる作品です。今年の映画祭では、小津監督作品も上映予定です。合わせてお楽しみ下さい。
上映日/2025年2月16日(日)9:30〜
協賛=ユタカサービスグループ