九十歳。何がめでたい(2024年/前田哲監督)
佐々木順一郎
実行委員会 会長
映画コレクション・しねとろ倶楽部 主宰
101歳になる直木賞作家・佐藤愛子が日々の暮らしと世の中への怒りや戸惑いを独特のユーモアで綴ったベストセラーエッセイ集の映画化。
2024年に文化功労者として表彰され、91歳を迎えたベテラン女優草笛光子の主演。その草笛光子がエネルギッシュに、チャーミングに等身大の佐藤愛子を熱演して生きづらい世の中をバッサリと描く笑いと共感の痛快エンターテイメントとなっています。
物語は、書きたくないと断固拒否する佐藤愛子と、なんとしても執筆企画を成功させたい唐沢寿明扮する編集者との頑固者同士の攻防を中心に描かれる。そしてヤケクソで連載を開始すると、生きづらい世の中への怒りを赤裸々につづった内容が、大反響を呼んで人生が90歳にして大きく変わり始める展開。執筆業を再開することで活力が戻り、セリフ「何がめでたい」と言う言葉の温度が明らかに違ってくる。一方で唐沢寿明扮する編集者を昭和の象徴的な仕事人間として描き家族の様子をまじえながら主人公の家庭とを比較していく。
この映画は、「希望」がテーマであり「人生100年時代」と言われ長生きが出来る世の中で、生きていれば時代の風が吹く時もあると教えてくれる。そしてシニアにとっても若者にとっても、人生は決して悪くないとも思わせてくれる。
劇中、疲れ果てていた佐藤愛子が久々に原稿を書き「感動した」という電話を受けたとき、エネルギーが満ちてくるようにジワジワ笑顔になり、深呼吸するシーンは必見。またワンコ好きな方には良いエピソードもあり、改めて自分らしく生きる元気を貰える映画です。ほっこりする映画です、是非ご覧ください。
上映日/2025年1月26日(日)15:15〜
協賛=寿鉱業株式会社