ここが見所

フジコ・ヘミングの時間(2022年/小松莊一良監督)

藤本逸子

実行委員会 理事
豊橋創造大学 短期大学部 名誉教授

フジコ・ヘミングは、スウェーデン人画家のヨスタ・ゲオルギ―・ヘミングと、ピアニストの大月投網子を両親として、1931年、ベルリンで生まれました。一家は、1932年、日本に移住します。

フジコは、幼少期から母の手ほどきでピアノを始め、東京芸術大学在学中に数々のコンクールに入賞します。 卒業後、ベルリンに留学します。フジコは、16歳の時、右耳の聴力を失っています。ヨーロッパで活躍し始めた時、左耳も失聴しました。治療しましたが、左耳聴力の60%を失いました。

フジコは1995年に日本に帰国し、1999年、NHKのドキュメント番組で取り上げられ「フジコブーム」が起きます。
「フジコ・ヘミングの時間」は、この大ブーム中のフジコの日常を2年間追ったもので、2018年に完成した作品です。フジコの心、考え、好み等が、生に伝わってきます。

フジコの演奏を沢山聞くことができます。多くの演奏場面を見ていて、「フジコは、グランドピアノは、ベーゼンドルファ。アップライトは、ベヒシュタインが好きみたい」と感じました。これらのピアノを弾いているときが一番自然体で、フジコの心がそのまま音になっているように思います。

フジコの父親が作成した「日本郵船のポスター」が紹介されます。シャープな魅力を感じる素敵なポスターです。幼いころのフジコの絵日記が随所で見られます。父親の血を受け継いだオシャレな絵が満載です。エンドロールを、ぜひ最後までご覧ください。作品中に演奏された曲が全曲明示されています。


上映日/2025年1月26日(日)9:30〜
協賛=株式会社物語コーポレーション