映画祭について

豊橋にはゆったりとした空気が流れている。

それはこのまちが住み易く、居心地の良い場所であることの証しでもある。
温暖な気候、豊かな自然、良質で潤沢な食材、心開けば暖かい人々・・・。
かつて商業や交通、生活、文化、娯楽の中心であった"まちなか"。
今そこに往時の賑わいは無い。
が、"まちなか"はこのまちの個性を醸成する上で欠くべからざるものである。

私たちは、そんな"まちなか"を「スロータウン」と呼ぼう。
そしてその個性を(つまび)らかにしていこう。
文化に触れ人々との交わりの中で心癒される場所、
良質な瞬間(とき)を過ごし心が豊になる場所、そんな空間を創造していこう。
"まちなか"での映画祭は私たちのそんな想いから企画された。

映画は時と空間を超えた世界共通の文化であり、
世代を超えて感動を分かち合うことのできる稀有な存在である。
かつて豊橋の"まちなか"には十を超える映画館があった。
そこは老若男女、多くの人々にとって異文化への窓であり、
身近な非日常の空間であり、憩いの場でもあった。

確かに私たちの試みは小さな一歩に過ぎない。
しかし、この映画祭を通して"まちなか"に、映画を、文化を、まちを、
そして自分自身の生きる瞬間(とき)を愛する人々が集い交わることで、
この空間を私たちにとっての特別な、大切な存在にしていきたい。
そしてこのまちに文化や地域を愛する心を育んでいきたい。

私たちは「スロータウン映画祭」をそんな映画祭にしていきたいと思う。