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1/31(日) 佐藤浩市 シネマ&トーク 『映画界の今昔と役者佐藤浩市』を開催しました!

とよはしまちなかスロータウン映画祭 オープニングシネマ&トーク
■映画上映「愛を積むひと」「陽気なギャングが世界を回す」
■トークショー~映画界の今昔と役者佐藤浩市~
開催日:2021年1月31日(日)
会場:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

「それでも、映画文化のあかりを灯し続けたい」と題した今年のスロータウン映画祭。
開催できるのか?開催して良いのか?議論を重ねる中、佐藤浩市さんが来豊くださることが決まったのは4か月前の9月末でした。
こんな有難いチャンスは今を逃せば二度とないかもしれない!であるならば、「できる」と信じて万全の体制を整えようと準備を進めました。

12月、『サイレント・トーキョー』の公開の翌日がとよはしまちなかスロータウン映画祭オープニングイベントのチケット発売日。先行き不透明な中、700席があっという間に完売し、佐藤さんの人気を再確認すると同時にお客様の大きなご期待も感じました。

ところが、そんなお客様のご期待、私たちのやる気とは裏腹に。。。12月下旬からは飲食店の時短営業、1月半ばにはとうとう東京(佐藤さんがお住まいの)も愛知も緊急事態宣言下に。またもや開催できるのか?開催して良いのか?という議論に戻った実行委員会へ、佐藤さんより「行きますよ」のご連絡が!!!なんと!なんと!有難いことでしょう!こちらがお願いしづらいことをお願いする前に快諾してくださる、佐藤さんのお気遣いに敬服いたしました。

さて、前置きが長くなりましたが、なんとか開催当日を迎え、およそ500名のお客様と佐藤浩市さんにお越しいただくことができ、2本の映画上映の後、60分のトークショー「映画界の今昔と役者佐藤浩市」が開幕いたしました。

ステージ袖から登場された佐藤さん、客席へ何度もお辞儀をなさり、「マスク、取らせていただいてよろしいでしょうか?」が第一声でした。この「マスクを外すタイミング」は、本番前の打ち合わせで佐藤さんから「お客様のお気持ちを考えると…」とご提案いただいた方法でした。

そんな佐藤さんの優しさはトークの随所に感じられました。まず印象的だったのは、素人質問をする私の一言一言を拾うように聞いてくださり、また佐藤さんも一言一言を大切にお話ししてくださったこと。それから、口数少ない印象の佐藤さんが「こんな話はあんまりしないんだけど…」と仰りながら思いのほかたくさんお話しくださったことも嬉しい驚きでした。



お話しの中から少~しだけ披露させていただきます。

―「陽気なギャングが地球を回す」豊橋ロケの思い出は?
「陽気なギャング」よりも「リーダーズ」の方が印象に残っていまして…齢60なものですから、近々のことの方が覚えているんです。あの時は、ホテルの朝食が美味しかったことと、撮影が終わると街で一杯ってことも多かったもんですから、西駅の居酒屋「百万石」さんにはよく行かせていただきましたね。皆さんに温かくむかえていただき良くしていただいたことをよく覚えています。

―「愛を積むひと」について
原作は日本の話ではないんですけど、我々が好む話、日本人の心にも残る作品。いかに長い時間一緒に過ごすと相手が大切な存在であるかというのが、日々大きくなってく、その喪失感ていうのはその時にしかわからないですよね。

―映画デビュー作「青春の門」について
こういう話はあまりしてはいけないかもしれない・・・と仰いながら、撮影秘話も紹介。「今では考えられないけど、免許もないのに大型バイクを運転させられたり、それで公道を走ったり」と大らかな時代の撮影の思い出をお話しくださいました。

―若山富三郎さんとの思い出
(三國)連ちゃんの息子だから、一人前とは言わないまでも形にしてやんないといけない、そんな風に思っていただいたんだと思います。厳しくしていただいた、怖かったですね~。「青春の門」で共演、その1年後に「火曜サスペンス劇場」の3億円事件のドラマに出たんですよ。明日から仕事だ!と思って見たら、僕のお父さん役がまた若山さんだったんです。でもね、その撮影のとき、僕がひとこと呟くシーンを若山さんが見てて、「アイツ、役者んなったなぁ」って仰っていただいたって、お弟子さんから聞いたんです。それまでの厳しさの意味合いが何倍にもなって返ってきたような嬉しさ、有難さでしたね。ホッとしたというよりも、より研鑽をつまなければ、そんな思いがしましたね。

―三國さんと寛一郎さん
僕が役者をやると言ったときに三國が一言言ったのは「あぁ、そうか」だった。僕も息子から「役者になる」と聞いたとき「そうか」しか返しようがなかった。(佐藤さんにとっての三國さん、寛一郎さんにとっての佐藤さんの存在は多少背中を押してくれるかもしれないが、それは数年だけのこと)何を学んで、何と出会えるかだと思うんです。今、毎朝、親父の…あんまりこんな話したくないなぁ…線香あげながらお願いするのは、家族の健康とあとやっぱり坊主(寛一郎さん)の人としても役者としても成長できる、そんな人や本、作品との出会い、その出会いの運を導いてやってくれ、頼むな親父、その言葉しかないんだよね。

―三國さんとの共演
『人間の約束』で共演してるんですけどね、不仲だからどうだとか言う人がいたりして、それについてはなんとも思わないんだけど、自分の中で(もっといい作品をやらなくちゃと)ハードルをあげていっちゃってたんですよね。だから三國から「『美味しんぼ』やろう」って言われた時は「えっ?漫画かよっ!」てね。漫画がいけないってことじゃなくてね。もっと違うこといってなかった?って思ったけど、あれやってなかったら…もう叶わないことだから、後悔では済まなかったんじゃないかな。2本、3本ってやっとけばよかったな。

―役柄の幅広さについて
得手不得手はない…いや、あるかなぁ。できるだけ作らないようにしてるんだけど、偏ってしまうことは怖いんですよね。アッチとコッチの振れ幅の中で、刑事が続けば刑事はしばらくやんねぇよ、なんて言ったりしてね。ただ、銀幕の中で役を壊しちゃいけない人もいるんですよ。(高倉)健さんが下着ドロボー見たくないでしょ?困っちゃうでしょ?僕はできるんですよ、お陰様で(笑)

進行:金田文子(とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会運営理事)


60分の全てを書き起こしたくなってしまうくらい素敵なお話をたくさんいただきました。三國さんのモノマネもご披露くださり、撮影タイムには笑顔に加え「動画用に」と手を振って応えてくださいました。映画への愛情、役者の気構え、お客様への心配り、そのどれもが長い年月をかけて大切になさっていらっしゃったんだと感じるものでした。

~皆さまへのメッセージ~
「今、大人としての生き方の責任が問われる時代、この時期を超えた後にこの国が、皆がどういうふうに生活をとり戻していくのか。まだ先は長いかもしれないけど、皆でこの山を越えていきましょう。」

終わりに、厳しい状況下に来豊くださった佐藤浩市さんに改めて心より感謝申し上げます。ご来場のお客様、ご協力いただいた企業の皆様、ありがとうございました。直前で断念なさったお客様には、またご期待いただける企画をお約束したいと思います。

とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会 運営理事・金田文子




撮影:山下将司 他