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2/9(土) 石川慶「十年 Ten Years Japan」シネマ&トーク <凱旋上映>異才の映画監督、故郷で語る vol.2を開催しました!

開催日:2019年2月9日(土)18:30〜
会場:穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

『十年 Ten Years Japan』上映前の監督舞台挨拶

舞台挨拶と『十年 Ten Years Japan』の上映

昨年に引き続き、地元豊橋出身の新進気鋭の映画監督、石川慶氏をお招きしてのシネマ&トーク。前売り券は全席完売。監督は今秋公開の次回作『蜜蜂と遠雷』の音入れの多忙な中東京から駆け付け、ご家族や同級生、母校時習館高校学校関係者や同窓会関係者、地元映画ファンで埋め尽くされた会場で、最新作『十年 Ten Years Japan』(5話からなるオムニバス、うち『美しい国』を石川監督が監督・脚本)の上映前に舞台挨拶をいただきました。

この作品が世界各国の映画祭で大反響を呼んだ香港のオムニバス映画『十年』の日本バージョンであること、『万引き家族』などの是枝裕和監督が総合監修を担当したこと、石川監督他5人の若手監督と幅広い世代のキャストが集結し、10年後の近未来を描く5つの作品を作り上げたことなどをご紹介いただきました。


進行:石川 誠(とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会会長)

まずは石川監督の近況を!

映画上映を挟んで、トークショーがスタート。ナビゲーターは今回も映画祭実行委員会会長の石川が務めました。冒頭、石川から今回の企画の経緯を紹介。「『十年 Ten Years Japan』は昨年11月に公開され、話題を呼びながらも残念ながら県内では名古屋のみの公開となり、そのためスロータウン映画祭での特別上映を緊急決定した。前回に続き時習館本部同窓会役員企業9社による協賛により実現した。」と報告されました。

最初の話題は石川監督の近況について。昨年の映画祭以降のトピックスをお伺いしたところ、ご本人から昨年9月にご結婚されたことが報告され、客席から大きな温かい拍手が沸き起こりました。また昨年3月に放送された連続ドラマ『イノセント・デイズ』(WOWOW)についても触れ、『愚行録』に続いてタッグを組んだ妻夫木聡さんについて、「俳優はもちろんのことプロデューサーとしても優れた手腕を持つ。」と高く評価しました。


次の話題は、先ほど上映した『十年 Ten Years Japan』へ。石川監督の作品である『美しい国』で徴兵制をモチーフにした理由について、「元々のテーマは“表現の自由”。かつて戦争協力者と批判された画家の藤田嗣治から同じ表現者として着想を得た。良いか悪いかではなく、10年後を考えたときにあるかもしれないと思ったのが徴兵制だった。」と説明。

エグゼクティブ・プロデューサーである是枝監督への関わりについては、「プロットや演出についてかなり具体的にアドバイスをいただいた。」ことを明かし、『美しい国』というタイトルについても、「最初はタイトルがなかったが、是枝さんからタイトルが無いのは良くないと言われ、観た人の議論のきっかけになればと思いあえてつけた。」とお話しいただきました。主演の大賀さんについては、「普段は普通の若者だが、緻密に考え演技をしていて本当に上手い。今後が楽しみな俳優。」と絶賛しました。


今秋公開予定の『蜜蜂と遠雷』について

続いての話題は、恩田陸原作で史上初の直木賞&本屋大賞受賞の話題作、現在制作中で今秋公開予定の『蜜蜂と遠雷』。小説は浜松国際ピアノコンクールを題材にしているが、ロケは作秋埼玉県入間市で行われたとのこと。また、現在は編集を終え音入れの段階であることなどが紹介されました。

「文章で音楽を表現した素晴らしい原作で、映像化不可能と言われており、映画化には苦労した。」と語る一方、音楽物を撮ることへのためらいはなかったかとの問いには、「ポーランド在住時代から、5年に1度開催されるショパンコンクールに強い関心があり、いつかはショパンコンクールのドキュメンタリーを撮りたいと思っていた。違う形で実現した。」と答えました。そして過去の2作品(『愚行録』、『十年 Ten Years Japan』)が何れも豊橋で劇場公開されなかったことから、次回作については「是非豊橋で公開してもらい、皆さんに観ていただきたい。」とも希望されました。


トークショーの最後にはこれまた昨年同様、会場の皆さんと一緒に記念撮影。ナビゲーターの「はい、じゅーねん」の掛け声で、石川監督と全来場者による即興の「十年ポーズ」をキメました。来年もまた新作を引っ提げてスロータウン映画祭に帰ってきていただくことを皆さんと祈念しながらトークショーを終了しました。


とよはしまちなかスロータウン映画祭実行委員会会長・石川 誠






撮影:山下将司